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講談師・神田陽司のテキストブログ


by yoogy
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やはり泣いてしまった細川邸

12月14日は例年某はと以外のバス会社のコースに乗っている。

この日は特別の例外として、旧細川邸で「大石内蔵助」以下17名の切腹の跡の庭に入ることになっている(多くの観光客の中でツアーの人間だけ入るのが毎年恥ずかしいような快感なような)。

今年はその前の吉良邸で法要があり体が冷えてしまったため、細川邸での説明中も喉が痛くて満足のいく出来ではなかった。

しかし、サービスもこめて、ここでは一切の批判もギャグもなく「彼らは義のために…」熱をこめた。

そして「彼らが訴えたかったことは」の談でつい、グローバリズムを国内レベルに限定した、元禄における市場中心社会(封建制の下で「主義」とはいえなかろうが、この進展には吉宗ほどの独裁者ですら歯が立たなかったことは事実だ)の批判ではなかったか、と、もちろんもう少し目立たぬ形で、調子づいた時には思わず涙声になった。思わず、というところがミソ。普段はそういう流れが予想できるのだが。ただの仇討ちではない、彼らの必死の、元禄という時代への抵抗だった、という主張は自作の「テロリスト大石内蔵助」のものではあるが…。


年に一度、限定した人数しか入れないという「場」の力かも知れない。が、そういう偶然はえてして人に内面的な真実を裏付ける。

昨日書いた通り「切腹」を自殺の一形態としか見ず、以前書いた通り自殺を「殺人」と見下す(「他者の命を救うための自己犠牲」とは峻別して)自分の中にも、そういう割り切れない謎は残っている。そのことは自覚しておきたい。


あと、「倒すべきは幕府ではなかったか?」という、義士全否定みたいな問いかけをされたこともあることを付記しておきます。コワイデスネ。
by yoogy | 2007-12-15 21:52 | 高座