講談師・神田陽司のテキストブログ


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何を言っても風説の流布になるこんな世の中=プルトニウム

明日あたりのニュースショーではトップにくるだろうか? こなかったらこなかったでそれもちょっと怖いが。

山岸涼子の「パエトーン」という漫画が料金フリーで公開されている。それを読むと「プルトニウム」の毒性が強いことで原発の恐怖が描かれている。いまの現実を見る前なら「杞憂杞憂」と一笑にふしてしまっていただろうが。

さて、明日「毒性の強さ」だけが強調されるとヘタするとパニックが起こるかも知れない。ただ、私のにわか勉強をするかぎり、私のネットリテラシーにおいて、いままでのヨウ素やセシウムのように、風に乗って何十キロも飛散するようなものではない。もちろん、検出された事実が示すところのものは大問題だが、それとて、一部では当初から予想されていたもので、いま騒ぎだすことではないのだ。

心配するのは、なんというか「物語的に」ハマッてしまうと群衆はまさしく核分裂のごとく連鎖反応を起こす。かつて地球温暖化が問題にされ始めた時、やたらと「洪水」のイメージが強調された。「南極の氷が溶ければ海面が数十メートル上がる」これを明確にイメージできる知性・感性のある人間はそのイメージだけで温暖化の恐怖を刷り込まれることになる。

お気づきだと思うが、この「イメージ」はあまり使われなくなった。温暖化問題の総本山のIPCCの報告書ですら否定されている。南極の平均気温はマイナス50度、もし南極の氷が全部溶ける時には人類は溺れる前に暑さで死滅している。

けれど「洪水」という神話的なイメージのもつ力は絶大で、いまでも温暖化の先に「洪水」を思い描く人はいるはずだ。

「プルトニウム」プルート、冥土の王。メイド喫茶の王ではない。この「イメージ」が先行するとヘタに知識のある人の方が率先してパニックを起こしかねない、そして、善意から人々に喧伝しかねないと思う。

もちろん、専門家でない自分が安全だと言う根拠は何もない。ただ自分は、イメージを「物語る」職業のものとして、プルトニウムの「神話作用」(ひさびさに記号論の用語を使ったな)に流されず、冷静にと呼びかけたい。

まあ、自分を知ってくれているであろう人の多い「日記」でしか書く自信はないのだけどね。

それにしても・・・それにしても・・・。早く「復興の物語」のページをめくらせてほしいものだ。


(MIXI日記より転載)
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by yoogy | 2011-03-29 15:48