講談師・神田陽司のテキストブログ


by yoogy
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毎年書いてきたので、今年も終わりだし、恥知らずにも書いておこう。

スリムクラブ、が笑いを取ったのは「禁忌を破る笑い」の線上に見事に乗っていたからだ。それを代表するのが、一回目、二回目に一番ウケたワードだ。
「放射能」「民主党」。このふたつの単語を「街で出会った挙動不審の巨漢」と「他人の葬式に押しかけてきた巨漢」がおどおどとしながら言う。しかもその発音はあきらかに標準語でも漫才のオーソドックスな大阪弁でもない。今年最も緊張感のある「沖縄のことば」である。

どうだろう。上の単語と登場人物を並べ替えて間を埋めればいかなる社会的なメッセージを構成することも可能なことにお気づきだろうか? それが「お笑い」という、しかも観客さえ緊張させるというその頂点の舞台で展開する。もちろん、そこで「笑い」を成立させた、即ち見事に「禁忌」に触れながらその当然予想されるメッセージを軽やかに回避する、アクロバチック飛行もかくやという技術はホンモノだと思う。だからスリムクラブが優勝してもなんら異論はないが、逆に笑い飯の優勝にも十分うなづける結果となった。

「笑い」は恐ろしい。

高校の頃、演劇部ではこんな言辞が聞かれた「泣かすのなんか誰にでもできるが、笑わすのは100倍むずかしい」いかにも関西の高校生の意見である。いや、これは現在泣かせるのが好きな自分の「芸」を生業とする自分もうべなうところはある。それについてはタモリさんが「いい話特集」みたいなコーナーで言ったことに尽きる。

「人の死んだ話をされて泣かなかったら人間性を疑われるでしょう?」つまり、死を扱えば泣かせる方向に誘導するのは比較的たやすい。笑いにはそれほどのしっかりした曲尺・鯨尺はないということだ。

あえていうならば「笑い」は「禁忌と、その予想される緊張感を回避する快感」である。問題は「禁忌」をどう作り出すかである。

パンクブーブーのネタをみてみよう。二本とも「怖い相手とケンカになる」話であった。本来予想される悲惨な暴力は最初から回避が予想されている。あとはその過程でどれだけ「禁忌」に近づいていくかの技術問題になる。

決勝に進めなかったピースも「タマシイ」を「吸う」というところで受けていた。これはスリムクラブの方法論に近い。

その点、笑い飯の作り出す「禁忌」にはかなり高いオリジナリティがある。それを長年作り出してきたという事実が加点されてもなんら不条理ではないし、二本のネタを見れば「これからも作り出してゆける」という可能性を感じさせる。「今日、ここで、一番ウケた」人間を採点するのでないなら、結果はあれでいい。なにしろオリジナリティのある「禁忌」は回避の方法すら一般論では作り出せないのだから。


あ~あ。評論家じゃないのになあ。

自分のケイコをしよう。
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by yoogy | 2010-12-26 21:13 | 高座
そんなわけで、チラシができました。
http://www.t3.rim.or.jp/~yoogy/
実は演目は最後まで悩んでたんですが、昨日、東京かわら版の情報締め切りが8日だったことを知って急遽決めた訳です。こうなったら「大隈重信漬け」の後は「宇宙漬け」でいこうかと。また「一年遅い」感じですね。でも、坂本龍馬は「一年早くから」準備してて結局儲かりませんでしたから、もうどうでもいいです。

「宇宙」案外というか当然、現代の閉塞状況を解くカギのひとつとしてあっていいんじゃないかと思っています。それについての自信の根拠が30年以上前に読んでいまでも暗記しているこの一節です。

「宇宙開発に使う金があるなら、もっと福祉など役に立つことに使えという人々の意見を聞くと、どうしても私は腹を立ててしまうのだった」
(A・ペリー『一万年後』より、うろ覚え)。

スキャンダラス嗜好の強いカッパブックスの本でしたし、科学的な根拠がどれほどあったかこれから読み返すことになりそうですが、この本は間違いなく一人の少年の絶望を救いました。

『ノストラダムスの大予言』は1973年、そりゃ今にして思えば笑い話だろうけど、小学生にのしかかった未来への絶望は、同級生にオウムに上祐史浩を出すほどの現実力をもっていた。そこへ現れたのが75年の『一万年後』だった。それは曇り空の上に広がる蒼天をありありとイメージさせてくれるものだった。

宇宙開発は何もテラフォーミングして移住計画をというような「壮大な夢」だけではない、無重力や完全な真空を安価に手に入れられる宇宙ステーションが出来るだけでも膨大な科学技術の発展が見込まれる、そのもたらす恩恵はもちろん医学など日常の「役に立つ」もので満載だ…というのも35年前に読んだ通りの記憶でしかないが。

「敵」を想定したもとにみんなが危機感をもって「団結」を促されるより、同じ坂の上の雲をみてみんなが希望を持って進む方がよいに決まっている。それは国単位でしかり、地球単位でしかり。「温暖化」や「仮想(じゃないと思うけど)敵国」に基づかないでドーンと夢をブチあげる。小学生の時に持てた夢が今も夢足りうるか、そういうことを考えながら「はやぶさ」講談のバージョンアップをはかってみたい。

まあ、自分もホリエモンや孫正義と同じ種類の人間なんでしょうね。収入は一億倍ほどちがうけど(泣。







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by yoogy | 2010-12-11 14:37