講談師・神田陽司のテキストブログ


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楽しい仕事

浜松市民吹奏楽団の定期演奏会の司会をしてきました。

司会・・・といっても、メインは二部の「講談と吹奏楽のコラボ」といった企画なんですが。

「遠州道中膝栗毛」と題して、浜松の観光名所をヤジさんキタさんで回る。「花が踊ってるみたいだねえ」というところで「花のワルツ」演奏とか・・・。そして、二部のメイン「大序曲1812年」チャイコフスキーが、フランス軍のロシア遠征(ナポレオンが「ロシアの冬に負けた」って言ったってやつね)の挫折と祖国の勝利をテーマにした壮大な曲。そのモチーフや状況の解説を講談で(ちゃんと講釈台を置いて)解説したあと、演奏。

実は、音楽とのコラボ、それもここまで本格的なものは初めてだったので不安もあったのですが、もう、ただただ感動しました。

中学の時、トロンボーン吹いてたんだよね、吹奏楽部で。中学だけでやめちゃったけど、夏の合宿や、チューニングメーターをピタッと止めるロングトーンだけはしっかり覚えてる。

講談部分のリハーサルなんて大して時間取らないんだけど、前日入りして、3時間ほどの稽古にもみっちり付き合いました。当日も。もう、右手が指揮棒を振りたくて振りたくて。プロの前じゃ言えなかったけど(言ったかな?)クラブでは指揮者で、高校まで、合唱コンクールは全部の機会で指揮してたから、音楽の生演奏なんて聞くと絶対手が止まらない(中学の最初の先生がストコフスキーばりの棒を使わない演奏だったし)。目障りになっちゃいけないから、右手隠すのに苦労した。

ただし、音楽的なことはぜんぜんわからない。テンポがずれでもしなければ「上手いなあ」としか思えないし。

当日の朝、客演指揮の元・N響の多戸幾久三先生の「もっと目をこっちへ」という言葉に芸の上での啓示を受ける。「譜面台を見てちゃダメだ」表現が、どこに向かって、誰に向かってなされるのか、わかっているつもりでも、やはり一流の人の現場の言葉は心に響く。

そして最後の「大序曲1812年」はもう、感動の嵐だった。ナレーションに、もともとはなかった「ロシアに春が来た」という台詞を追加して完結させたのは成功だったと密かに思う。もちろん、そんなものがなくても演奏から伝わってくると思うけれど。戦争の曲なのに平和を・・・いや、そういう次元を超越した「讃歌」になっている。チャイコフスキー自身は気に入らないところもあったらしいが、芸術とは平坦な意味のやりとりの次元からの「跳躍」だということを肌で感じた。

打ち上げにも一部参加させてもらった。途中で抜けるのにわがままを言って「三本締め」に手を拝借した。
ううむ・・・流石だ。一人の乱れもない完璧なアンサンブルの三本締めだ。

帰りの電車の中では「木陰の散歩道」と「1812年」をただただ繰り返し聞いていた。たぶんこれから気分が落ち込んだ時には、これを聞けばたちどころに回復するような気がする。

それほどの楽しい仕事だった。

浜松市民吹奏楽団のみなさん、ありがとうございました。


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by yoogy | 2009-06-30 21:10 | 高座